三本足と半導体産業の黄昏

2SC1815。
電子関係では知らない人がいない程有名な東芝のトランジスタである。
オールマイティな特性と入手しやすさから、数十年にわたって定番部品であった。

しかし、時代の変遷により、電子部品の主役はリード線部品より表面実装タイプの部品に移行していった。
そうして、最大の需要家である産業向けが失われ、細々と生産されていた製品も整理の為に生産中止とアナウンスされた。この報に最大の利用者であるホビー向けは、あと数年は(市場に回っている過剰部品を含め)大丈夫だろう、と楽観的な観測が大多数を占めていた。
だが、今月に入り、ホビーユースでは知らない人はいないであろう、秋月電子での販価が3倍程度、引き上げられた。元来、1個数円程度で販売されていたところが、10円程に上がってもさして影響がある訳ではない。また、既存設計で該当トランジスタの特性をフルに活用した回路ばかりではなく、置き換えもさして困難ではない。

佐野がこの一連の流れから思ったのが、タイトルにした「半導体産業の黄昏」である。
半導体(DRAM)が産業の米と言われたのは、今は昔。
DRAMメーカーのエルピーダは言うまでもなく、ルネサスなど、日本半導体産業が半分死にかけている状態だ。気がついたら、韓国や台湾勢が猛烈に追い上げをかけている。一部分野では、既に追い抜かれている。
パーツから最終組み上げまで一国で仕上げていた日本製品は今や探すのが難しい状況で、世界の工場といえば中国に移り変わっている。
物作りの日本はどこへ行くのだろう。


コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スパムフィルターにより、日本語が含まれていないコメントは無視されます。ご注意ください。