日経サイエンス

佐野は大学こそ文系学部だったが、サイエンスが好きな人間である。
そんな人間なので科学系の雑誌は世間一般に比べて多く読んでいる。日本で科学系の雑誌というと有名どころでは「Newton」がある。これは中・高校生位でも読めるほど、易しく書かれている。
ややマイナーな雑誌としては、「日経サイエンス」がある。この雑誌はScientific Americanの翻訳論文が基本なので、ある程度(理系大学教養レベル)の知識がないと読み辛い所がある。あと、東京化学同人の「現代化学」があるが、一般書店で扱いが殆どないのが残念。

そんな「日経サイエンス」から興味を引いた記事を紹介。

2011年1月号より、ハッブルを超えて ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡。
天文学に輝かしい記録を残してきたハッブル宇宙望遠鏡。さらに上を狙うジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)計画が地上での最終段階を迎えている。
打ち上げ制約から宇宙空間で命ともいえる主鏡を展開するという野心的な計画である。また、JWSTは地球と太陽のラグランジュポイント2に展開されるため、あまりに地球から遠く、有人での修理や改良といったメンテナンスが困難である。このような技術的課題をどう克服していくか、非常に興味深い。

2011年2月号より、正念場迎えるマラリアワクチン。
日本でマラリアは遠い存在だが、世界レベルで見ると脅威を振るっている病の一つだ。
マラリアは寄生虫によって発生する病気だ。ワクチンの開発が成功すれば、世界で始めての寄生虫に対するワクチンとなる。他に生ワクチンのような方法をとる研究チームや媒介する蚊に抗体を作らせるという斬新なアプローチも紹介されている。
実験者自らマラリアに意図的に感染してみて、アプローチの結果を判断するという、ちょっと日本人には理解されないような検証方法を実行しているチームが存在していることには驚いた。

2011年6月号より、国史が語る千年前の大地動乱。
今回の震災と類似が指摘されている貞観地震。六国史の一つである日本三代実録に記された記録からその実態を探る記事である。日本三代実録という、どう考えてもニッチな本に読み下し本があるのはこの記事を読むまで知らなかった。個人的には、日本三代実録の写本が本文の写真として記事内で使われたのが残念。歴史を扱っていた人間の感覚からすれば、校訂の入った國史大系の方が優れていると思うのだが、やはり活字本では写真写りが良くなかったのだろう。

一冊1400円と一般向け雑誌の中では若干高い分類に入る「日経サイエンス」だが、「Newton」に物足りなさを感じている人にはおススメである。


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